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執筆者の写真Fenrir records

ボーカル調整その2

更新日:2019年4月15日

こんばんは

今回は、前回の「ボーカル調整その1」で紹介したボーカルの音そのものの調整に続いて、調整したボーカルの音をどうやってオケに加えていくか、という視点での処理について書いていこうかなと思います

ここで扱っているデータは前回と同じ曲の「ロマンティック・マイハート」です


ブログのタイトル下に貼ってある画像が、ハモリを含めたボーカルのみの周波数分布になります(ボーカルさんの声質やAメロBメロの歌い方などで分布は大きく変わります)

おおよそ200~20kHzまで非常に幅広い帯域にボーカルの音が存在していることが分かると思います

これだけ幅広い帯域に音があり、オケのほとんどの音に周波数がぶつかってしまうため、ボーカルミックスは他の音のミックスと比べて特に難しいのではないかと思います。

まず、影響が大きい処理から順に見ていきます


ボーカルミックスは、個人的にはほとんどフェーダー調整とパン振りで決まってしまうんじゃないかなと思っています

(画像は全トラックだと横に長すぎるので一部だけ載せています)

この2つのパラメータを調整をするときは、いつもライブ会場をイメージしています

ボーカルが真ん中にいて、その少し後ろに他の楽器、奥の方にドラム、会場の雰囲気を作る隠し味的な音やパッドなどはさらにその奥・・・

ボリュームが大きければ音は手前に、小さければ奥にいきます

ボーカルの目の前にピアノが陣取っている、なんてことはあり得ないので、センターのボーカル以外の音はボーカルより小さくします

ボーカルが歌っていないところで、例えばサックスのソロとかギターのソロとか、聴かせたい音がボーカルではない場合は、それを目一杯前に出していいと思います

もちろん、聴かせたい音を大きくするので、クラブ系の曲ではキックやベースを大きくするなど、ジャンルによってバランスは大きく変わります

調整する順番は、聴かせたい音の順にするとやりやすいと思います

大枠を決めて、残りの空間を他の音で控えめに埋めていくイメージです

左右の音が小さすぎると迫力に欠けますが、大きすぎるとセンターが埋もれます

自分はここまでリバーブをかけずに調整することが多いです

スピーカーをお持ちの方は、スピーカーとヘッドフォン両方で調整するととても分かりやすいと思います


次に、リバーブで奥行感を出すとともにボーカルを更に手前に出します

要は、ボーカル以外の音にリバーブを多めにかけて奥にやることで、ボーカルを手前に残して目立たせるという感じです

使うリバーブは何でもいいと思います

自分が持っているリバーブの中で曲調に合うものを選んでください

リバーブは非常に処理が重たいプラグインなので、1台だけ起動して全トラックをセンドでそこへ送って処理するようにしています

(ハイスペックなPCなら何台も起動して大丈夫だと思います)

センドで使う場合は、Dry/Wetの割合をWet100%にして残響音のみがセンドで返ってくるようにします

部屋の響き方を決めるのがリバーブなので、基本的にはリバーブは1種類だけがいいのかなと思っています

手順としては、先ほど奥に置いた小さい音にはリバーブを深く、手前に置いた音にはリバーブを浅くかければ更に立体感が出ると思います

ボーカルにはリバーブを少なくして、ディレイを使って音の広がりを作ることによって、ボーカルを手前に置いたまま立体感のある音を作ることができると思います


ここまでできれば、後はEQを使ってボーカル以外のパートから、ボーカルを邪魔している帯域を削っていきます

削る時は、画像のようにQを細目にして削ります

音作り用のEQとミキシング用のEQを分けるとやりやすいかなと思います

ボーカルの音そのものは既に聴こえやすくて良い音に調整されているはずなので、ボーカルが埋もれている時はオケの方を削る、ということが大切です

ボーカルの音の大雑把な要素として

・200Hz以下:土台

・300~500Hz:ふくよかさ

・500~900Hz:存在感

・900~2kHz:芯

・2~4kHz:滑舌、キャラクター

・4kHz以上:空気感

こんな感じかなと思っています

ボーカルがこもっているな・・・という時はオケの帯域が被っているパートから空気感や滑舌、芯に相当する帯域を削っていきます

ボーカルが遠い・・・という時は存在感や芯に相当する帯域を削ります もしくはフェーダー処理やリバーブの処理に戻ります

ボーカルが薄っぺらい・・・という時は土台やふくよかさに相当する帯域を削ります

人間の耳は1~2kHz付近の音に特に敏感らしいので、その辺りの処理を念入りにすると聴こえやすいミックスができると思います

最後に、どうしても足りないボーカルの帯域を少しブーストするなり微調整して完成です


今回はかなり大雑把な説明でしたが、これさえできていれば聴きやすいミックスに大分近づくのではないかと思います

この曲とは別のボーカルさんからの要望で、もっと画像を使って説明しろよと言われたのですが上手くいきませんでした、本当に反省しています

ごめんなさい

見てもよく分からなかったというところは、ページ下部のアイコンからTwitterをフォローして頂き、DMで質問など送って頂けると嬉しいです


それでは、良きゲームライフを 

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