こんばんは、Lambです
今日は音の加工方法について、いくつか書いていきたいと思います
僕は音源から出た音をそのまま使うことがほとんどなく、音は上手く調理してこそ自分だけの音になると思っています
タイトルの画像は金魚の写真なのですが、なんとなく不思議な感じがするかと思います
モノクロの写真にして赤色だけを抽出する、という工程を経てこんな感じになっています
Twitter等で写真を撮る活動をされている有名な方が沢山いらっしゃいますが、案外、撮った写真そのものはパッとしない普通の感じだったりするようです
レタッチ、と呼ばれる陰影や色彩、その他様々な補正によって、見る人をハッとさせる写真に仕上げているそうです
音の加工も同じだと思っていて、自分らしさを出すためには音源から出た音をどんな風に加工するかが重要だと思います
僕は音楽理論等を知らないまま作曲をしていて、楽器も特に弾けるわけではないため、この音を加工するという部分に特に気を使っています
では、自分がよく使っている音の加工方法について、カテゴリ別に書いていきます
・アタック感を強くしたいとき
ボーカルやストリングス、色んな音に対してアタック感を出したいときがあると思います
「この音は好みだけど、今のオケに混ぜると消えてしまうからやめておくか・・・」
そんなときでも、アタックを強くできればオケに混ぜても十分に聴かせられる場合が多いため、音の選択肢がぐっと広がるかなと思います
※ここでは、アタック感を音の勢いとして広い意味でとらえています
厳密な意味での”アタック”ではないかもしれませんが、気にしないでください
音の種類によって沢山のアタック感を強める方法があると思うのですが、まずはボーカルについてです
<ボーカル>
ボーカルは声質によって本当にオケに負けやすい音になってしまうと思うのですが、高域を増やしてクリアな音にしつつ、コンプでしっかり押さえていくとアタックが出やすいです
高域を増やすときは、薄くディストーションをかけたり、エキサイターを使ったりすることが多いです
EQを使って元々存在する高域をブーストするのではなく、倍音を増やすという意味でこの二つを使っています
後のスペクトラムアナライザの項目で説明しますが、EQで高域を増やすのと倍音を増やすのでは全然意味が違ってきます
音圧感を稼ぐためにも、まずは倍音を増やす方法が良いのかなと思っています
イメージ的には、バイオリン一本で音を鳴らした場合と、オーケストラの楽器全てで鳴らした場合と、同じ音量でどちらが迫力が出るかという感じです
豊かな、沢山の高域の周波数を含んだ音に加工して、そこからコンプをかけていくことで、しっかりしたアタックを出せると思います
また、薄い声質だと高域を増やしてもアタック感が足りないことがあるので、今度は低域を補っていきます
以前に無料配布されていた、低域の倍音を付与するWavesのMaxxBassなどがあればいいのですが、無い場合はピッチ補正で1オクターブ低くしたボーカルデータを聴こえるか聴こえないかくらいの音量で重ねるとしっかりした低音ができます
この場合、低域以外はユニゾンで元のボーカルデータと重なることになるので、声質が少し変わってしまうのが嫌なときは、低くしたボーカルデータの方をフィルターやEQで低域以外を切ってしまって下さい
<ストリングス>
次はストリングスです
ストリングスはとても厄介で、あつまれどうぶつの森のイースターエッグ並みに厄介な存在として知られています
音源によってはデフォルトでアタックが遅く、もうコンプをかけてもどうしようも無い場合が多々あります
そんなときは、別のストリングスを上から重ねてしまいます
歯切れのよいスタッカート奏法の音色をアタック代わりに使用します
案外、聴こえるか聴こえないかくらいの小さいボリュームで重ねても、十分な効果を発揮すると思います
また、ストリングスは音質がボーカルと似ていると思うので、上記同様にエフェクトを使って高域の倍音を増やしてみても良いと思います
<キック>
キックのアタックは仕事より大事、とよく言われているように、キックのアタックがはっきりしているかどうかでオケの勢いが大きく変わってきます
VengeanceのサンプリングCDを買われている方はご存じだと思いますが、大体キックのサンプルはハイハットの音などが同時に再生されるようになっています
つまり、キックのアタックが足りなければハイハットを重ねるといい感じになると思います
クラブ系のオケ以外でも、バンド系のキックのモスッという音に短めのハイハットを重ねることが多いです
<注意点>
ここまでアタックを強める方法の一部を紹介してきましたが、基本的にアタックはステレオ感が広がれば広がるほど弱くなってしまう、という性質があると思っています
より目立たせたい場合はステレオエンハンサーを逆に使って、音像を狭めていくことで上手く行きます
スネアのサンプルで音像が広く、目立ちにくい場合はよくこの方法を使って、音をセンターの一点に持っていきアタック感を強めます
場合によっては、モノラルトラックを活用するのも良いと思います
音が一点からしか出なくなるので、その上でパン振りするととても目立つ音になります
・音の芯を出したいとき
次は、音の芯を出す方法です
これに関しては、どんな音でも同じような処理になってくるのかな、と思うのでボーカルを例に説明します
<ボーカル>
上の説明でモノラルトラックを使う、と書きましたが、ボーカルは常にモノラルトラックにモノラル仕様のエフェクトで加工していくのが良いかと思います(モノラルのエフェクトが無い場合は通常のステレオのエフェクトでもいいです)
Wavesのエフェクトをお持ちの方は、モノラル仕様のエフェクトが沢山あると思いますので、そちらをお使いください
ステレオのエフェクトを使っていくと、音像が徐々に広がっていくような感じがあって、どんどん音の芯が薄くなっていきます
僕は渋谷系を作るときに、よくダブリングでふわっとした音に加工するのですが、コーラス等の音像を広げるエフェクトをモノラルトラックに対して使います
こうすることで音の芯を保ったまま、ふわっとした音にすることができると思います
ディレイやリバーブを使用するときは、モノラルトラック→ステレオトラックの順に接続して、後段のステレオトラックの方で使用します
モノラルトラックで強い芯を持った音に調整した後、ステレオトラックで左右に散らしていくイメージです
また、EQを使って芯の出る帯域をブーストする方法もよく使います
Qを細くした状態でブーストして、低域から高域に向かって帯域をずらしていくと、モコっとして耳に圧がかかる帯域があると思います
100~300Hz辺りの、低めの帯域が音の芯に関係していると思っています
コンプを差す前にここをEQでブーストしてしまうと、コンプがこの帯域ばかりにかかってしまう恐れがあるので、コンプで固めた後にこの帯域をブーストすることが多いです
・音をクリアにしたいとき
最後に、音をクリアにする方法です
クリアにするときに、音の芯が失われがちになってしまうため、やりすぎには注意してください
これもどんな音でも同じような処理になってくるかと思いますので、パッドを例に説明します
<パッド>
音をクリアにするときは、上で説明した高域の倍音を付与する方法以外に、EQでモコモコした帯域を取り除く方法をよく使っています
500Hzには特に注意していて、この辺りが一番モコモコ感があると思っています
EQを使って500Hz付近を大雑把に下げた後、音が薄くなり過ぎない程度にQを細くして調整し、下げた分を元に戻していきます
一度大幅に削ってから、元に戻しながらQとレベルを調整していくイメージです
また、200~400Hzも場合によっては少し削ってもいいと思います
このときもQは細くして削ります
削るときにQが細くて問題ない理由は、次のスペクトラムアナライザの項目の説明で分かるかと思います
以上、音の加工方法になります
あんまりぎっしり書くと長くて読み辛くなってしまうので一部だけになってしまいますが、参考になれば幸いです
今まで書いた方法をふんだんに使用した音楽を是非、お手元のFenrir records最新作『レプリカガールシンドローム』で確認しながら聴いて頂けたらなと思います!
え、持ってない・・・?
大丈夫です
こちらのロータスルートオーケストラさんの通販ページにあります
約3年ほどかけて用意した曲たちのまとめになる作品ですので、是非試聴などしていっていただけると嬉しいです!
そして、今回のブログはおまけがあります
割と難しい内容になりますので、あつ森で何を収穫しても卵しか出なくて本当に暇だな・・・イースター早く終わってくれないかな・・・という方のみ読んでください
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・スペクトラムアナライザについて
作曲をしている方でスペクトラムアナライザを使っている方はとても多いと思います
自分も無料配布されている、VoxengoのSPANをよく使っています
しかし、そのグラフの意味を理解して使っている方は案外少ないんじゃないかと思っています
自分自身、理解しきっていない部分もあります
そこで、スペクトラムアナライザについて知っていることをここに書き残しておきたいと思います
スペクトラムアナライザは音楽関係だけで使用する装置ではなく、単純に周波数の分布をみるための測定装置になります
音楽の分野では、幅広い周波数分布を見ることができるスペクトラムアナライザの能力を人間の耳で感知しやすい20~20kHzあたりに限定して使用していることになります
よって、スペクトラムアナライザの画面外の見えない部分に対しても当然、音の波が分布しています
余計な情報やノイズを切るために、20Hz以下や20kHz以上をフィルターでカットするのはこのためです
続いて、音の波がどんな風に変換され、スペクトラムアナライザ上で表示されるかを見ていきましょう
左が100Hzの波と200Hzの波を表した図、右が全く同じ波をスペクトラムアナライザ上で表した図になります
全く同じ波を見ているはずなのに、スペクトラムアナライザ上で見た方がとてもスッキリしていて見やすいと思います
上の方で説明した、EQで高域をブーストすることは波の振幅を大きくすること、ディストーション等で倍音を増やすことは波の個数自体を増やすことに相当します
倍音を増やした方が、ピークが変わらないため音圧も稼ぎやすくなります
音楽では膨大な数の音の波を扱うため、左の図では波が重なり過ぎて、もはや何が鳴っているか分からなくなるのは容易に想像できるかと思います
左の図の状態から、右の図のように変換して表現するためには、以下の数式を用いてフーリエ変換を行います
式の大雑把な説明です (計算は省略します)
t ⇒時間を表す
f ⇒周波数を表す
f(t) ⇒左の図を波を一つの式でまとめたもの
F(ω) ⇒右の図の波を一つの式でまとめたもの、f(t)をフーリエ変換した式
ωは2πfで表現されるため、時間の関数f(t)が周波数の関数F(ω)に変換されていることが分かります
このフーリエ変換によって色んなごちゃごちゃした沢山の波が、スペクトラムアナライザ上では一本の線として見やすく表現されます
この変換方式を発見したフーリエさんにはとても感謝しないといけません
あとで☆5フーリエを目指してガチャを回しておきます
要するに言いたかったことは、たとえ大きな振幅を持った重要な波であっても、スペクトラムアナライザ上ではたった一本の線で表現されてしまうということです
EQで波を削るとき、Qを細くする理由が分かったのではないでしょうか
また、ノイズ等の大きすぎる音がないかのピークチェックをするときなのですが、「なんか一本線が出てるけど細いしまぁいっか。」ということをしてしまうと、下図の右の赤い波形を見逃していることになるので注意しましょう
以上です
スペクトラムアナライザの理解に役立つと幸いです
これから地球を守るために、地球防衛軍5のオンラインにて同志と共に戦場へ向かいます
無事生還して戻ってこられるか分かりませんが、ここへ書き残したことが皆さんの役に立つことを祈っています
それでは、よきゲームライフを
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