こんばんは
今回はブログ第一弾の記事として、2017秋M3で出させて頂いた「ロマンティック・マイハート」のボーカル調整について書いていこうかなと思います
ボーカルは色んな音の中で最も調整が難しい部類に入ると思っていて、処理も複雑で人によって全く違うことをしているのではないかと思います
まず、順番に今回行った処理を見ていきます
基本的に、ボーカルさんから送られてくるデータはモノラルだと思いますので、使うプラグインは出来るだけモノラルのものを使っていきます
モノラルのトラックにステレオのプラグインを挿してしまうと、徐々に音がぼやけてしまうような気がします
処理の流れとしては、1.EQで余分な低音をカット⇒2.ボリュームの大小の差を減らす(MV2やVocalRiderなど)⇒3.コンプレッサー2つ⇒4.ディエッサー⇒5.EQ沢山で微調整⇒・・・(インサートの数が足りないので一旦ここで止めておきます)
次に、各項目の処理をする理由です
1.EQで余分な低音をカット
これを1番始めにするのは、ボーカルデータに低音ノイズなどが入っていた場合、VocalRiderやコンプがそこに対して反応してしまうからです
ただし低音の減らし過ぎは良くないので、ハイパスで100Hz辺りを切っておけば良いんじゃないかなと思います
あと、ここである程度欲しい音質になるように周波数バランスを粗く整えておきます
(オケやリファレンスの曲をこまめに聴きながら)
2.ボリュームの大小の差を減らす
これを2番目にするのは、極端にボリュームが大きい箇所があるとコンプがそこにしか反応しないからです
MV2やVocalRiderを持っていればそれをかけて調整、無ければ時間がかかりますが、ボリュームのオートメーションを細かく書くと良いと思います
ただし、ここで最終的なアウトプットのフェーダーのオートメーションを書いてしまうと、それはコンプや色んなプラグインを通過した後のボリュームを調整することになってしまうので、プリフェーダーなどの(コンプを通過する前の)オートメーションを書く必要があります
AメロとBメロ、サビの音量差が大きい場合は、それぞれトラックを分けて処理をすると良いと思います
3.コンプレッサー
大体自分は2種類の設定で、コンプを2つかけています
最初のコンプはレシオが小さめで深くかけて音のコシを作りつつ音量差を更に押さえます
そして後のコンプはレシオ高めで浅くかけて、まだ飛び出ている音量の大きい部分を叩いていきます
アタックは両方とも1msくらい、リリースは音が奥に行き過ぎないように耳で聴きながら調整します
コンプはアタックやリリースが同じ設定でも機種によって全然かかり方が違うと思うので、感覚で調整するしかないと思います;
4.ディエッサー
ディエッサーをEQの前にかけるのは、耳に刺さる箇所を減らそうとして先にEQをかけてしまうと、穏やかに歌っているような刺さらない箇所までその帯域が削られてしまうからです
スペクトラムアナライザーで確認しながら、飛び出ている周波数を入力してディエッサーで
そこを適度に叩きます
5.EQ
欲しい音質になるように、無限にEQを挿して調整していきます
ボーカルの存在感を前に出すなら600~900Hzくらい、輪郭は1~2kHzくらい、声のハリは3~4kHz、キラキラ感は7kHz以上かなと思っています
太さや土台感は200~400Hzかなと思います
この辺りの処理は元々のボーカルさんの声質によって大きく左右されると思うので、単純に欲しい声質を目指して先入観は捨てた方が良いと思います
ディエッサーで消しきれなかった耳に刺さる感じは、Qが思い切り細くなるEQを用意して4~6dBくらい削ります
その後削った付近の帯域をQ広めでほんの少しブーストすると、音がスカスカにならなくていいと思います
ここでの調整はボーカル単体で行い、曲の完成が近づいてきたらオケも含めてバランスを考えて整えていくと上手くいくんじゃないかと思います
インサートの数が足りなくなったので、2つ目のトラックを用意してそこへさっきのトラックを繋げています(使っていないプラグインもあります;)
初段にAudioTrackというプラグインが入っていますが、単にEQとして使っています
2段目のVitaminは倍音成分の調整ができるとかそんな感じのプラグインだったと思います
イメージとしては、マルチバンドでいくつかに帯域をわけて、ごっそり持ち上げたり下げたりしてEQでやり辛いような、まとまった調整をする感じです
それ以外のVitaminの機能は今回使ってないです
そして、最後にBitterSweetV3というフリーのトランジェントを操作できるプラグインを使って、アタック部分を持ち上げて滑舌良く、かっちりした埋もれないような質感に調整しています
先ほどのトラックはモノラルでしたが、このトラックはピンポンディレイを使って左右に音を広げたかったので、ステレオのトラックにしています
これ以降のリバーブなどの処理は音の輪郭が変わってしまうので、全てセンドを使って処理しています
オケの音圧に負けてしまう場合は、ディストーションやテープシミュレーターを薄らかけてセンドで返して、少しジャリっとした質感に加工して目立たせます
まだこの先も色々あるのですが、結構長くなってしまったので次回に書きます
文章が下手で外国の人が書いたブログみたいになってしまいました・・・
見てもよく分からなかったというところは、ページ下部のアイコンからTwitterをフォローして頂き、DMで質問など送って頂けると嬉しいです
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